2025年8月22日(金)、長崎大学大学院生向け集中講義「マイクロデバイス総論」にて、日本ケミコン株式会社

宇井様、仁野平様、熊谷様、荻原様をお迎えし、同社の主力製品であるコンデンサおよびカメラモジュールに関する特別講義が行われました。世界トップクラスの技術力を持つ企業から直接学ぶ貴重な機会となりました。


世界シェアNo.1のコンデンサ技術

冒頭、宇井様より企業概要が紹介されました。大井町で創業した同社は、国内外に生産・開発拠点を展開し、インド・バンガロールにも拠点を構えています。特にアルミ電解コンデンサ分野では世界シェア18%を誇り、世界No.1の地位を確立。
家庭内にも平均800個使用されているとされるコンデンサは、身近ながら高度な技術の結晶です。同社はアルミ箔の国内生産を「ブラックボックス」技術として守り、材料技術・生産設備・開発力の三位一体で競争力を維持しています。


基礎原理からMLCCまで — 材料技術の進化

仁野平様からは、コンデンサの基本動作である「直流を遮断し交流を通す」という原理や、電極・誘電体の組み合わせによる特性の違いが解説されました。
続いて、**MLCC(積層セラミックコンデンサ)**の製造工程や不具合事例(クラック)とその対策が紹介され、製造条件や添加剤組成の改良、チタン酸バリウムの細粒化などの材料技術向上が高品質化の鍵であると説明がありました。また、製品の大型化やモジュール化といった将来展望についても触れられました。


現場の視点 — カメラモジュール開発

荻原様からは、カメラモジュールの開発業務が紹介されました。長岡拠点の技術本部には50名弱が在籍し、自動車用・建設機械用・セキュリティ用など多様な用途に対応。
回路設計から機構部品設計、3D設計まで設計から製造まで一貫対応できる体制が整い、電子部品の最適活用が製品性能に直結することが強調されました。最後に、「失敗を恐れず、チームで挑戦を乗り越えていこう」というメッセージが学生に送られました。