2025年7月18日、総合生産科学研究科の大学院生を対象に、共修科目「半導体マニュファクチャリング総論」の講義で、株式会社荏原製作所による出前講義が実施されました。

会社紹介の後、半導体製造において「なぜ真空が必要なのか」について説明がありました。ドライ真空ポンプの原理や、真空の逆流を防ぐ仕組みについては動画を交えて紹介され、油回転真空ポンプとの比較を通して、わかりやすく解説いただきました。次に、半導体製造時に発生する有害ガスを除去し、環境負荷を低減する排ガス処理装置について学びました。さらにCMP装置については、基本構成や原理の説明の後、微細化に伴って平坦化の重要性が増していること、そして清浄性や多材料対応など、CMP技術の課題についても詳しくお話がありました。最後に「半導体のこれから」として、AIやデジタルツインを活用した装置の最適化や機能開発についての展望が語られました。また、半導体製造装置メーカーでの仕事のおもしろさや、装置開発における技術者の役割についても触れられ、就職活動を控える学生にとって非常に参考になる内容でした。

受講後のアンケートでは、

・ これまで半導体というとチップや回路などの目に見える部分に意識が向いていましたが、それを支える真空技術やCMP、排ガス処理装置といった目に見えないが産業を支えている存在が極めて重要であることに気づかされました。

・ ドライ真空ポンプが製造装置全体の消費電力の13%を占めるという事実には驚きました。効率化や熱・振動によるロスの低減といった工夫が、環境面やコスト面にも直結することから、今後、改善の余地が大きいと感じました。

・ 今後は機械学習やAIを取り入れた「プロセスインフォマティクス」によって、従来はベテラン技術者の経験に頼っていた最適化が、データ駆動型で行われるようになるという話は、非常に未来的でワクワクする内容でした。また、特許性やグローバルな活躍の場が広がっている点も、自分のキャリアを考える上で非常に魅力的に感じました。

・ 荏原製作所様が単なる装置メーカーではなく、顧客の課題解決や新プロセスへの柔軟な対応を重視している点も印象的でした。技術開発力に加え、機動力を活かしたサポート体制が競争力の源泉となっていることを知り、今後のキャリアを考える上で参考になりました。特に、半導体分野で世界的シェアを誇る企業が、日本発の技術でグローバルに活躍している事実に刺激を受け、自身も産業を支える技術者として貢献できるよう学びを深めたいと感じました。

などの声が寄せられました。