このテーマは,LED用サファイアウェハのスライシング技術に関するものであり,その他の半導体用ウェハの切断技術に展開できるものです.

このテーマにおける砥粒加工に関する研究開発の進め方や解析手法などは,参考になる点もあるのではないかと思っています.

多くの方のご参加を可能にするため,今回は対面とオンラインとのハイブリッド開催とさせていただきます.

もしよろしければ展開いただき,可能であればご出席賜り,ご意見等いただけますとありがたく存じます.

どうぞよろしくお願いいたします.

矢澤孝哲

長崎大学 大学院工学研究科 教授

研究開発推進機構産学連携コーディネータ

教育開発推進機構生涯教育センター

‐記 –

学位審査に係る公開論文発表会

発表者氏名 森山 慎也 (主査:矢澤孝哲)

日   時 令和 6年 1 月 19 日(金) 16:10 ~ 17:40

開 催 方 式 ハイブリッド(対面&オンライン同時)

場   所 長崎大学大学院工学研究科 12番講義室

題   名 固定砥粒ワイヤ工具による硬脆材料切断に関する研究
       ~加工液中へのスラリー援助が加工メカニズムに及ぼす影響~

要   旨

 LED 用サファイアウエハの製造工程の一部であるスライシング工程に多用されるマルチワイヤソーイングにおいて,加工表面のクラックは,ウエハの強度低下,工具細線化,ウエハの薄板化などの障壁となる因子であるため,「硬脆材料のスライシングにおけるクラックレス表面の創成」が求められている.
 本研究室では,CeO2と呼ばれる研磨粒子(通称:セリア)を添加することで,ワイヤ切断加工特有の現象である”工具たわみ”が抑制されることを確認した.さらに,ウエハの加工面性状の向上も確認されている.この切断法を「スラリー援助切断法」とよび,スラリー援助が切断性能に及ぼす効果とメカニズムの解明を進めてきた.本論文は,主にワイヤ工具摩耗現象に着目し,微視的な現象のモニタリングと定量化を試みた.そして「加工液中へのスラリー援助がワイヤ切断メカニズムに及ぼす影響の解明」を目的として以下の項目を検討した.

  1. スラリー援助の効果検証
  2. ワイヤ工具摩耗解析
  3. 工具-工作物間のトライボロジー現象解析

それらの結果から,セリアスラリー援助により,ニッケルメッキの摩耗形態が遷移し,移着粒子による工具持ち上がり現象(工具たわみ)が抑制され,砥粒の工作物に対する接触頻度が増加し,単粒当たりの切り込み量が安定的に小さくなり,クラックレスな延性モード面が得られた可能性が高いことを明らかにした.

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